2010年5月8日土曜日

ビールとエールとラガーとビター その3

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前回はホップがイギリスにもたらされた頃の背景を少し書きましたが、今回からはビターが表舞台に出るまでのいくつかの事柄について書き始めてみようと思います。

ポーター
 現在ではポーターというとフラーズのロンドンポーター(写真・フラーズのホームページより)の様なアルコール度数5~6%前後の黒いビールを指すようですが、この言葉の始まりはロンドンのポーター(荷物運搬人)たちの間で人気のあったビールをそう呼ぶ様になった事から始まります。ではその「ビール」はどのようなビールだったのでしょうか。

 15~16世紀にイギリスにホップがもたらされたのち、色々なビールが造られパブに並ぶようになりました。そんな中、17世紀末から18世紀初めにかけて、3種類のビールを混ぜる事が流行し始めました。それを「スリースレッズ」(Three Threads)と呼び、それが「ポーター」の始まりでもありました。

 このスリースレッズが生まれた背景には、ホップの入っていない傷みの早いエールが酸化し酸っぱくなってしまい、それに新しいホップ入りのビールを混ぜて提供したという店主の都合や、その当時アルコール度数の高い飲料が流行り、それに伴い強いビールへの需要が高まったものの、アルコール度数が高いという事は割高であった為に、値段の高い強いビールと値段の安い弱いビールを混ぜて楽しんでいたというお客側の都合がありました。

 しかしその当時、ビールの樽は地下の倉庫に保管されており、ビールの注文を受ける度に地下の倉庫に行き、それぞれのビールの樽からビールを汲み取っていた為に、スリースレッズを作る為にはとても手間がかかりました。そこに目をつけたラルフ・ハーウッドが、1722年にスリースレッズを工場で造らせ「エンタイア」(Entire)という名前で売り出したそうです。

 このエンタイアが、ロンドンのポーターたちの間で人気を呼び、それ以降「ポーター」という名で親しまれる様になったそうです。

 この様な背景から、この当時の「ポーター」の定義は下記のようになります。

ポーター – 古くからのホップの入っていないエールと、ホップの入ったアルコール度数の低い低価格な1~2種類のビールをひとつの樽に合わせたビール。「スリースレッズ」又は「エンタイア」とも呼ばれる

 ちなみにアイルランドの黒ビールであるギネスは、「スタウト」と呼ばれます。色々調べてみましたが、現在の「ポーター」と「スタウト」の言葉の使い分けが分かりません。造っている醸造所によっても違うようです。てっきり麦芽を使っていないビールをスタウトという解釈をしていましたが、それは間違いのようです。どなたかご存知であればぜひお知らせ下さい。

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