イギリスでは、アンティークのテレビ番組が毎日お昼間の時間帯に合計3~5時間ほど放映されています。それだけイギリスにはアンティーク好きが多い様で、ポートベローロード(Portobello Road)をはじめ、週末だけでなく毎週ロンドンの街中でもアンティークマーケットが開かれています。
アンティークマーケットでは、いわゆるアンティークと言われる家具や金銀製品、アクセサリー、書籍、絵画など、大体において100年前後からそれ以前に製作されたのものから、更にはコレクタブル(collectable)と呼ばれる、タバコの箱に入っていたカードやコイン、有名ブランドのおもちゃやテディーベアなどのぬいぐるみなど、20世紀に入ってから製作されたものでも価値のあるもの、物によっては1980年代に製作されたものも販売されています。
そんな中、色々な理由からアンティークやコレクタブルを競売にかけて現金にしようという需要も高く、イギリスの各地にオークションがあり、先日、チズウィック(Chiswick)にあるアンティークオークション(Chiswick Auction)に品定めがてら行ってみました。
大型家具から小さいアクセサリーまで所狭しと展示されており、カタログで見る限り800アイテム余りが並んでいました。私の興味は銀製品なのですが、そこには私の好きな大聖堂のインテリアの絵が2枚セットであったのです。カタログの基準価格(guide price)は30~50ポンドとあり、カタログの中には基準価格が2000ポンドを超える物がありつつも、私の少ないお小遣いで落札出来る値段ではありませんでした。更には落札した金額の15~20%を手数料として支払わなくてはなりません。今日は冷やかしに来たのだしと思い、横目で見ながら通り過ぎました。
せっかくなので、競売も見ていく事にしました。12時スタートなので、持参のサンドイッチを開けている人もいましたが、どうみても競売にかけられる予定の商品のソファで食しているのです。どうやらそれは受け入れられている様で、商品の並ぶ1室にたくさんの人がコーヒー片手に集まって来て、これまた商品であるダイニングチェアやソファに陣取っていくのでした。
競売は12時~18時までと書いてあるのですが、800以上のアイテムを6時間で裁くという事は1時間に140アイテム以上を裁く訳で、という事はひとつのアイテムに1分かけていたら6時には終わらないということなんだなぁと思いつつ、12時を回っても出てこないイギリス時間なオークションを仕切る競売人(auctioneer)を待っていました。
競売人がやっと壇上に現れ、「今日も800点以上アイテムがあるから、とっとと始めます。品物を落札した人は番号札をすぐに上げて下さい。それでなくても時間がないので。」と一言述べてから競売が始まりました。その速度といったら早いこと。私は以前から英語の数字が苦手ではありますが、競売人のアクセントに耳が慣れても時々いくらと言っているのか分からない位早いのです。競売にかけるアイテムの簡単な説明もしてくれるので、アンティークの形容詞の勉強と、数字を聞き取る練習だと思いながら、自分の気に入ったアイテムがいくらで落札されるものかと順番を待っていました。
大聖堂のインテリアの絵の順番が回ってきました。競売人は出来るだけ高値で売るのが仕事ですが、落札する方は安く落としたい訳で、本来100ポンドする商品でも、落札人はいったん競売人が50ポンドくらいまで下げるのを待って、そこから競売が始まり値が釣り上がっていきます。その絵の基準価格は30~50ポンドだったので、競売人ははじめに「40ポンド!」と言いました。・・・・誰も手を上げません。「20ポンド!」。・・・・・競売人は1.5秒ほど待ちましたが誰も手を上げません。「じゃあ10ポンドで誰か買わないか!」。そろそろ誰か手を上げるだろうと思いつつも・・・・・・。「じゃあ5ポンドだ!」。その瞬間、5ポンドなら私にも買えるはずと考え、手を上げかけたものの、それと同時に競売人のハンマーが下りてしまいました。誰も落札しなかったので、売れ残りとされてしまったのです。
あらら、こんな事なら落札するつもりで取り組めば良かったと、しばらく呆然としてしまいましたが、競売人はそんな私の事なんて気にする事もなく(当たり前ですが)次々と商品を捌いていきました。100アイテム毎に競売人が替わるのですが、最初の競売人は100アイテムを30分で捌きました。競売人も大変でしょうが、落札する方に考える時間を与えないで値を吊り上げるという手段なのでしょう。
次に出てきた競売人はアンティークのテレビ番組にも出てくる方で、何度かテレビで彼が競売する様子を見ていましたが、それの倍の速さで競売を進めていました。途中で冗談を交えながら、それでも100アイテムを45分ほどで捌きました。冷房で体が冷え切ってしまったので、300アイテムを超えた所で退室しながら、売れ残ったアイテムは来週に持ち越されるため、果たして私は来週もここにやってくるのかしらとぼんやり考えながら駅へと向かいました。
ちなみに下記リンクの中ほどに2人の競売人が出ています。Williamが一番目に出てきた競売人で、Tomが二番目です。二人とも優しそうな顔をしていますが、競売が始まると頬が緩む事はありませんでした。
http://www.chiswickauctions.co.uk/index.php/about-us/
to be continued ....
アンティーク オークションにて 2/2
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